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前川 雅樹; 河裾 厚男; 加島 文彦*; Chen, Z. Q.
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.299 - 301, 2004/11
現行の密封線源による陽電子ビーム形成では得られる輝度に限界があり、物質表面で起こる過渡現象や微小試料の研究を行ううえで大きな制約となっている。この制限を打破すべく、イオンビームを用いた高強度陽電子線源の作製を試みた。TIARAのAVFサイクロトロンを用いて発生した20MeVのプロトンビームを高純度アルミニウムに照射し、Al(p,n)Si反応により生成したSiが崩壊する際の陽電子を減速し低速陽電子ビームとして形成する。陽電子の発生を確認するためソレノイド磁場を用いた陽電子輸送系において陽電子ビーム像を観測したところ、およそ3mm程度のビーム径が得られた。これはモデレーターの有効径とほぼ一致し、変形もみられないことから、発生したビームは比較的単色性の高いものであり、密封線源による陽電子ビームと同様の良好な性質を備えていることがわかった。また陽電子ビーム強度を計測したところ、イオンビーム1Aあたりの発生陽電子個数は510個/secとなることがわかった。これらより、高輝度陽電子ビームの実現に向け重要な基礎データを得ることができた。
Chen, Z. Q.; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 山本 春也; Yuan, X. L.*; 関口 隆史*; 鈴木 良一*; 大平 俊行*
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.193 - 195, 2004/11
20-80keVの水素イオンを、4.410cmの線量までZnOの単結晶中に注入した。低速陽電子ビームを用いた消滅測定により、注入後、水素不純物で満たされた空孔が導入されることを明らかにした。アニール後、空孔を満たしたこれらの水素は大きい水素バブルに発展する。500-700Cのアニール温度で、これらの水素不純物はバブルから放出され、空のマイクロボイドが残る。これらのマイクロボイドは、1100Cで最終的に消失する。ZnOにおける水素注入の光ルミネッセンスへの効果も議論する予定である。
中尾 誠*; 堀 順一*; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 山内 通則*; 石岡 典子; 西谷 健夫
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.245 - 247, 2004/11
IFMIF(International Fusion Materials Irradiation Facility)の加速器構成材料であるAl, Cu, Wの重陽子入射による放射化断面積の測定をTIARA施設のAVFサイクロトロンを用いて行った。測定対象とした反応はAl(d,x)Mg, Na, Cu(d,x)Zn, Cu, W(d,x)W, Reで、エネルギー領域は2240MeVである。得られた値を他の実験値及びACSELAMの計算値と比較した。
山川 猛; 平尾 敏雄; 阿部 浩之; 小野田 忍; 若狭 剛史; 芝田 利彦*; 神谷 富裕
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.19 - 20, 2004/11
SOI(Silicon on Insulator)素子は、内部の埋め込み酸化膜により電荷の収集を抑制できることからシングルイベント耐性素子として注目されている。しかし、最近になって酸化膜による電荷収集の抑制に疑問がもたれている。本研究では、MOSキャパシタの酸化膜を超えて起こる電荷収集をより詳細に評価することを目的とし、イオン入射角度、及び照射中の温度変化が電荷収集に与える影響を調べた。照射装置は、TIARA施設の3MVタンデム加速器を用いた。MOSキャパシタは、膜厚約50nm,電極サイズ100mの試料を使用した。照射は、試料への印加電圧を-10Vとし、イオン入射角度を0, 30, 60とした。さらに入射角度0の場合には、照射温度を室温(25C), 75C, 125C, 180Cとして測定を行った。実験で得られた過渡電流波形はイオン入射角度の増加に伴い、ピーク値が高くなり、立下り時間が短時間側にシフトした。これは、入射角度が浅くなるにしたがって電極近傍の領域で発生する電荷が増加したため、収集時間が短くなったためと考えられる。一方、照射温度の違いについては温度の上昇に伴って収集電荷量が減少していることがわかった。これは温度上昇に伴い比誘電率の低下が起こり、収集される電荷量を減少したためと考えられる。さらに、収集電荷量が誘電率に依存することから、MOSキャパシタの酸化膜を超えて起こる電荷収集は変位電流が原因であるといえる。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 若狭 剛史; 山川 猛; 阿部 浩之; 大山 英典*; 神谷 富裕
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.14 - 16, 2004/11
アバランシェフォトダイオードのような光通信用素子は近年人工衛星に搭載されるようになってきており、その放射線耐性の評価が強く求められている。高エネルギー荷電粒子がSiフォトダイオードに入射すると、アバランシェ破壊が引き起こされるとの報告がなされた。本研究では、光通信素子のシングルイベント効果を明らかにするため、2.5GHzのInPアバランシェフォトダイオードに高エネルギーイオンを入射し、その時に発生する電荷収集の過渡過程と入射位置依存性を調べた。その結果、印加電圧が-35V付近になると急激な電荷収集が行われることや、エッジ近傍でスパイクの大きい過渡電流が流れることがわかった。本研究会では、イオン入射位置とアバランシェ効果による電荷収集について議論する。
安堂 正己; 若井 栄一; 沢井 友次; 松川 真吾; 内藤 明*; 實川 資朗; 岡 桂一朗*; 田中 典幸*; 大貫 惣明*
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.159 - 161, 2004/11
ブランケット構造材料の候補材料である低放射化フェライト鋼では、照射による靭性の低下(延性脆性遷移温度の上昇)が重要な課題となっている。本研究では、低放射化フェライト鋼F82Hに対して、照射硬化が、靭性の低下と大きな関連を有することに着目し、特にヘリウムによる硬化促進及び高照射量での硬化挙動について、TIARAによる多重ビーム照射を用いて調べた。まずヘリウムがない場合における、照射硬化の照射量依存性を調べた結果、633Kにおいては、30dpaまで硬化は増加する傾向にあるが、それ以上の照射量においては飽和傾向を示すことが明らかとなった。さらに同照射温度にて、ヘリウムが照射硬化の促進に及ぼす影響について、ヘリウム注入比を10/100appmとしてそれぞれ比較した結果、1000appmを超えるとわずかな硬化の促進が見られるが、約3300appm(ヘリウム注入条件100appmHe/dpa)の場合においては、20%程度の硬化量の促進が生じることがわかった。
笠原 三紀夫*; Ma, C.-J.*; 奥村 智憲*; 小嶋 拓治; 箱田 照幸; 田口 光正; 酒井 卓郎; 小原 祥裕
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.256 - 258, 2004/11
黄砂発生源である中国における4か所の異なる砂漠地域の砂を対象に、バルクあるいは粒子単体をそれぞれPIXEとマイクロPIXE分析により調べた。この結果、モルフォロジー,色そして大きさといった物理的特性を基本的に決定した。また、それぞれの砂漠のバルク状砂の化学的性質も相対的元素量として特定した。個々の砂粒子に関する元素分布及びスペクトルからは、それらの各特性が明らかになった。以上から、この研究で得られた砂漠砂の物理化学的特性に関する知見は、人為的な環境汚染物質や海塩のどんな種類のものが黄砂に共存しているかを知る一助となると考える。
田口 光正; 小嶋 拓治
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.139 - 140, 2004/11
重イオンにより水溶液中に誘起される化学反応は、おもに水から生成したOHラジカルの量や空間分布により支配される。本研究では、OHラジカルとの反応速度定数の大きなフェノールを選び、その水溶液に220MeV Cイオンを照射し、生成物の定性・定量分析を行った。3種類の酸化反応生成物(ハイドロキノン,レソルシノール及びカテコール)について、その生成収量を、水中の進行方向に連続的に減弱するイオンエネルギーの関数として微分解析し、各生成物の収率(微分G値)を求めた。トラック内に生成した水素原子や水和電子とフェノールとの反応ではこれら反応生成物は生じない。ここで、トラック内再結合しなかったOHラジカルが線と同じ反応機構で酸化反応に寄与すると仮定し、OHラジカルの微分G値を求めた。微分G値は、水中における重イオンの比エネルギーが減少するに伴い小さくなることがわかった。さらに、フェノール濃度を0.5から100mMと変えることにより、すなわち平均反応時間を1.5から300nsと変えた場合、微分G値は、イオン照射直後では比較的大きな値を示したが、時間経過に伴い小さくなった。これは、線や電子線などでも観測される一般的な現象である、照射により生成した水素原子や水和電子との反応によりOHラジカルが消滅したと考えられる。
田口 光正; 小嶋 拓治
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.141 - 142, 2004/11
本研究では、シングル重イオン照射によって生成する活性種挙動の時間変化を追跡することにより化学反応メカニズムを解明することを目的として、照射による活性種を反応初期から動的に観測する測定法の開発を行った。セル内の試料水溶液の上面にモニター光を発するための薄膜シンチレーターを設置し、イオンビーム下流側から発光を観測する、高時間分解能な分光測定法を開発した。水溶液試料上面のシンチレーターを通過したイオンからの発光は水溶液を通過し光ファイバーに集光される。この時の特定波長での発光強度(I0)はイオン入射直後に最大値を示し減衰する。また、シンチレーターを通過し水溶液中に入った重イオンは水分子と反応し、OHラジカルや水和電子などの活性種を生成する。これら活性種と水溶液中の溶質分子とが反応してできた反応中間体はシンチレーターからの特定波長の光を吸収するため、その分減衰した発光強度(I)が観測される。KSCN水溶液に220MeV Cイオン照射した場合、照射直後の数10ナノ秒の発光強度に差異が観測された。これは照射初期に生成するOHラジカルとの反応で生成した(SCN)ラジカルの吸収に由来すると考えられる。
吉田 陽一*; Yang, J.*; 佐伯 昭紀*; 田川 精一*; 柴田 裕実*; 南波 秀樹; 小嶋 拓治; 田口 光正
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.143 - 144, 2004/11
AVFサイクロトロンの重イオンを用いたパルスラジオリシス研究のため、ナノ秒の時間分解能を持つ重イオン時間分解光吸収システムを構築した。Cイオンがシンチレータを通過する際に発する光を分析光として用い、水溶液試料を入れたサンプルセルの底面に設けたレンズ集光機能を持つ光ファイバーを通して光検出器に導き、フォトンカウンティング法により水中に生成する活性種を測定した。観測波長を480nmとし、水の有る場合と、無い場合の光強度の差を用いて、水和電子の吸光度を算出した。光強度の絶対値の評価ができていないため詳細な定量的議論ができないものの、水和電子の減衰には、10ns程度の速い減衰過程とそれに続く遅い減衰過程があることがわかった。このような二成分の減衰は軽イオンを用いた海外での研究や、吸収でなく発光測定法による研究においても観測されており、速い減衰過程は高密度励起に起因すると考えられる。
大越 清紀; 千葉 敦也; 水橋 清; 田島 訓
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.324 - 325, 2004/11
原研高崎TIARAでは多目的な実験を行うために多種類のイオン発生を行っているが、イオン種によっては長時間安定に発生することが困難なものもある。ビーム電流の変動は照射量誤差の原因を引き起こすため、常時安定したビーム電流で照射することが望まれている。このため、われわれはビーム電流を常時一定にするためのワイヤー型連続可変減衰器を用いたビーム電流安定化システムの開発を行った。本減衰器はビームに挿入するワイヤーの粗密によりビーム電流を減衰するものであり、中空円筒状の曲面の両側に開口部を設け、そこに徐々に間隔を狭めるようにワイヤーを配置した構造になっている。ワイヤーは、最初の30mm部分は設置せずに100%透過できるようにし、そこから10mmごとに5本,10本,15本そして20本とワイヤー間隔を狭めて配置した。減衰器を減衰方向へ回転させるとビームに挿入するワイヤーが増え、ビーム形状を維持しながら減衰率をほぼ直線的に大きくすることができる。実際に減衰器をターゲット前に設置し、コンピュータの比較回路によって制御した結果、変動率26.7%/10minだったビームをほぼ3%(設定値1A)以内の安定したビームにすることができた。
深谷 有喜; 林 和彦; 河裾 厚男; 一宮 彪彦
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.196 - 198, 2004/11
物質の最表面原子は、結晶内部であるべき化学結合が断ち切られているため、表面エネルギーを下げるように構造の組み替えを起こす。そのため最表面構造と熱振動状態は、バルクとは異なったものとなる。本研究では、表面研究の分野において新しくかつ有力な手法である反射高速陽電子回折(RHEPD)を用いて、最表面の再構成構造とその熱振動について調べた。代表的な半導体試料であるシリコンの(111)面を用い、RHEPDの最大の特徴である全反射を使うことによって、バルクからの情報に邪魔されることなく、最表面原子であるアドアトムの垂直位置と熱振動振幅を決定した。ロッキング曲線及びパターンの動力学的回折理論に基づく解析から、アドアトムの垂直位置は真空側に大きく緩和していることがわかった。また反射強度の温度依存性から、アドアトムはバルク原子の2倍もの大きな熱振動振幅で振動していることがわかった。これらの結果から、アドアトムは従来考えられていたものよりも、よりソフト化していることが初めてわかった。また、全反射条件下でのRHEPDパターン解析における運動学近似の妥当性について検討した結果も併せて報告する。